4月から9価のHPVワクチン始まっています!
〜正しく理解して積極的な接種を心がけましょう〜(2023年5月15日)
HPVワクチンのこれまでの経緯を振り返ってみましょう。
HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンは、子宮頚がんを予防するワクチンです。1982年に子宮頚がんのほとんどがHPVの感染であることがドイツの研究者によって発見されました。その後HPVワクチンが開発され、日本では2010年11月から公費によるHPVワクチンの接種が開始されました。2013年4月には定期接種となりましたが、接種後に全身の体の痛みや歩行障害、記憶障害をきたすケースが報道され、わずか2ヶ月で積極的な接種の勧奨が差し控えになりました。それにより接種率はぼ0%となり、約9年間、事実上接種停止の状態が続ことになります。
2015年、名古屋市で当時のワクチン接種対象世代3万人に行ったアンケート調査(名古屋スタディ)で、ワクチン接種者と非接種者の間に症状の出方に差がなかったことがわかり、ワクチン接種と多様な症状との関連性はないという結論がでました。同年、厚労省は多様な症状は「機能性身体症状」であるという見解を示し、その頻度は10万人あたり約5人(0.005%)であると報告しています。2017年には接種後に症状の出た人の7割はカウンセリングなどの認知行動療法で改善していることもわかりました。
一方、欧米では2006年からHPVワクチンが使われ始め、現在世界の110ケ国で公的接種が実施されています。海外からの報告から、ワクチン接種により子宮頚がんの発生率が60〜90%以上減少すること、接種年齢が若いほど予防効果が大きいことなどがわかってきました。海外では今では子宮頚がんを排除する段階に進んでいます。
このような動きを受けて、2022年4月、日本でも「接種対象者への積極的な勧奨を再開」しました。2023年4月からは、それまでの4種類から9種類の遺伝子型を含むワクチン(シルガード9)に変わり、原因ウイルスをより広くカバーできるタイプに変更になりました。
子宮頚がんの95%以上はHPVが原因です。感染を防ぐワクチンを打てば早い段階で子宮頚がんを予防できます。積極的なワクチン接種をお勧めします。
5月8日から新型コロナの感染症法の位置付けが、インフルエンザと同じ5類に変更になります。(2023年5月8日)
- 感染症法上の分類が5類に変更になることで、新型コロナの感染対策について、行政からの要請や関与(緊急事態宣言の発令や陽性者の外出自粛など)がなくなり、個人や事業者の自主的な取り組みが基本になります。
マスク着用も個人の判断に委ねられ、三密回避も一律に求められることはありません。感染症発生動向や行政からの助言を参考にこれまで実践したことをふまえて、個人や事業者が対策を検討するようになります。 - 新型コロナの検査費用や治療費については自己負担が発生するようになります。今治市では中学生まで公費負担がありますので、それら児童生徒については窓口負担はありません。
- コロナワクチンは令和5年度も公費負担で実施されます。
- 新型コロナに感染した場合、法律上に基づく外出自粛は求められません。外出を控えるかどうかは、個人の判断に委ねられらます。国は、発症後5日間が他人に感染させるリスクが高いことから、発症日を0日として5日間は外出を控えるよう推奨しています。
- 5類移行後は保健所から濃厚接触者として特定されることはなくなります。自宅待機の必要もありません。ただしコロナ陽性者(家族内感染も含む)との最終接触から7日間は発症することがあるので注意することとなっています。
概略は以上のようなものです。この変更に伴い全ての医療機関でコロナを診療するようなっていくと思いますが、医療体制が整備されるには少し時間がかかると思われます。